Googleがネット不通のエジプト向けサービス「speak2tweet」を始めたけど、大丈夫なのか?の巻(その1)

Googleが1月31日にインターネットが不要で電話からTwitterを投稿できるサービス「speak2tweet」を始めました。


いろんな意味で大丈夫なのか?という疑問が湧きました。



顛末を見ていきましょう。

背景

エジプトでインターネットが政府により遮断されたのが、1月27日。



最大手のISP各社がネットワークを遮断しました。エジプト国内のメールや「Twitter」「Facebook」の利用ができない状況がありました。



ライセンスが政府から認められている大手ISPは数少なく、ここを制限すればエジプト国内のネットが遮断されるという仕組みです。



大元のネットが遮断されているので、プロキシも暗号通信も意味がありません。




エジプトのネット完全遮断:その詳細




Googleは即座にサービスを発表します。



Googleからの解決アイデア

Googleからのアイデアは、特定の電話番号に電話をかけて、メッセージを送ると、Twitterに公開されるサービスでした。


サービス「speak2tweet」がGoogleから発表されました。


Googleの声明

Some weekend work that will (hopefully) enable more Egyptians to be heard

のタイトルでブログ記事が投稿されています。

Like many people we’ve been glued to the news unfolding in Egypt and thinking of what we could do to help people on the ground. Over the weekend we came up with the idea of a speak-to-tweet service―the ability for anyone to tweet using just a voice connection.


多くの人々と同様にわれわれ(Google)もエジプトの政変のニュースに強い関心を持っており、何が現地の人々にできるか考えているところです。先週末過ぎ、だれでも音声だけでtweetすることができるサービスアイデアを提案しました。


We worked with a small team of engineers from Twitter, Google and SayNow, a company we acquired last week, to make this idea a reality.

TwitterGoogleGoogleが先週買収したSayNow(社)のエンジニアから構成される小さなチームでこのアイデアを実現するために開発しました。



さいごにこう締めくくられています。

We hope that this will go some way to helping people in Egypt stay connected at this very difficult time. Our thoughts are with everyone there.

我々は、この難しい時期にエジプトの人々になんらかの連絡の手助けをしたいと望んでいます。


難しい時期(時代)とは、エジプトの独裁政権のことなのか、デモ鎮圧のプレッシャーなのか、明言されていませんが、
とにかく解決が難しいという認識はあるようです。

考察

文章から個人の連絡用に使って欲しいという意味と取れます。



しかしそもそもエジプト政府がインターネット網を遮断したのは、民衆デモの連絡用にインターネットを経由してSNSを使われては困るからです。



ところがGoogleの今回の試みは、経由手段がインターネット網から電話網になっただけで、デモの連絡用に使われる可能性は否定できません。


Googleはもちろんそのような可能性を含めて、サービスを開始したに違いありません。


ここに国際企業が国家というファクターに影響を及ぼす21世紀ならではの新しい力学が働きます。20世紀は国家という絶対だったファクターを経由して、企業は行動を起こしていました。




その国の法令に従うというのは、企業サービスの鉄則です。




今回もGoogleは電話網が禁止されていないから、それを使うことは、直接的には合法的と考えられます。





しかし、国際企業は、国内の政治の方向に影響を及ぼしていいものでしょうか。





ここはいくらかの疑問が残ります。





政治と宗教の例を通じて、この考察は次回に行います。