Googleがネット不通のエジプト向けサービス「speak2tweet」を始めたけど、大丈夫なのかの巻その2?
speak2tweetというサービスをGoogleが始めました。
前回までのおさらい
Googleがネット不通のエジプト向けサービス「speak2tweet」を始めたけど、大丈夫なのか?の巻(その1)
デモが続くエジプトでの電話経由Twitter登録サービスです。
今回、このサービスを分析しつつ、考察してみます。
サービスの分析
サービスには4つの段階があります。
(1)音声登録
指定の電話番号にメッセージを入れると、それが留守番電話のように登録できる。
(2)Twitteerのタイムライン
http://twitter.com/speak2tweet#
音声登録したインデックスが、時系列にTwitterのタイムラインに並びます。誰の音声メッセージかとかはわかりません。
(3)音声再生
Twitterからリンクを飛ぶと、音声メッセージが再生されます。
http://www.saynow.comのサイトです。
(4)テキスト
これをボランティアが翻訳して、『Egypt.alive.in』というサービスで、テキストの形で読むことができます。
サービスの効果と応用
まぁ簡潔に言うと、伝言サービスをTwitterに登録するサービスです。
天災が起こった場合でも電話はネット回線より、断線しにくいと言われています。(NTTなどが緊急事態用に回線を二重化しているとか)
このようなサービスは、地震の多い日本でもあってもいいかも知れません。
音声登録した内容をタイムライン上に登録していくサービスです。
エジプトの場合
一方でこのサービスは、今回のエジプトの場合、政府は素直にうけ入れられるでしょうか?
エジプト政府は、独裁体制を30年以上続けており、デモ対策である今回のISPのネット遮断も政府判断で行われたものです。
天災ではなく、むしろ人災に近いものです。
これを外国に本拠がある企業が、横槍をいれると時の政府はどうなるでしょうか。
おそらく安易に反民主主義(政府側)と民主主義(Google側)の構図が出てしまいます。
Googleがそう明示化していないとしても、容易に想像できてしまいます。
エジプト政府は、デモ弾圧への対抗措置として考えるでしょう。
はたして企業が国家へのイデオロギーに対して影響を持っていいものでしょうか?
企業が政府を超える?
オバマ大統領は、Twitterを使って選挙戦を勝ち抜き、Googleの力を借りてオリンピック招致を訴えようとしました。
政府のツールとして企業は使われてきました。
今、国際企業はその影響力をまして、政府のファクターを超える作用をもたらしています。
政教分離と政商分離
政治を宗教と分離するというのは、数千年の人類が築き上げた民主主義と並ぶ偉大な発明です。
宗教が政治と交われば、戦争の火種の最大要因であることは、歴史を学べば誰しも気づきます。
いまだに戦争や紛争の要因は、経済でなく、むしろ宗教です。
これを政治から遠ざけることを20世紀に人類は学びました。
ときを経て21世紀になり、政治のファクターを通さない抜身の宗教は、テロという形で国家に暴力のアプローチするようになりました。
人類は次のステップを学ぶ必要があるようです。
国家へのアプローチ
今回は、視点が少し代わり、企業が国家に対してアプローチをどう取るべきかという課題です。
結論から言わせてもらうと、中立であるべきだと思われます。
政教分離は20世紀のテーマでしたが、21世紀は政治と商業の「政商分離」が議論されていくはずです。
今回のGoogleやSoftbank(参考:またも「やりましょう」 ソフトバンク、エジプトとのSMS送受信を無料に)のエジプトへの支援措置は、国際企業 対 政府の構図となっています。
これはその国のイデオロギーや宗教に対して、外野である国際企業がなんらかのアプローチを図るものです。
これは国内の問題に影響を及ぼすことは必至なので(現にGoogleのニュースは世界中に回っています)、慎重に検討すべき事項です。
少人数のチームが週末会社の仕事として、サービスインする、という選択が正しいのか、クエスチョンマークがつきます。
(もちろん個人で会社の時間外に活動する場合や、市民オンブズマンのようなスタイルはありだとおもいます。
株主が資本投資している知名度の高い会社の残業代で週末に開発するかは別の問題です)
正しいのかわからないからこそ、もっと担保をかけて、Googleは慎重にすべきだったと思います。
担保をかけたら、間に合わないというかも知れません。