日本国民による原子力発電の放棄
このたび震災に被災された方々、本当に大変でしたね。とても辛かった経験だったと思います。無念の思いお察しします。
そして、まだこの瞬間も地震の影響は終っていないものだと思われます。
わたしもぽっかりと心に穴があいてしまったように、ここ半月近くがあっという間に過ぎてしまいました。
しかし、このままではいけないと思い、再びブログを書いています。
原発の影響と朝の東京
計画停電のために、毎朝、東京駅は、薄暗い電灯で彩られます。
日頃見慣れていない風景で、一見、不気味かも知れません。
これを「優しい東京」と形容した人は素晴らしいです。
原発の心配があるのに、表面上、だれも混乱していないし、もくもくと通勤をしています。
それは、みんな信じているからです。
放射能の雨が降ろうが、水道に放射性物質が混在してようが、仕事しています。
それらは解決できると信じて、目の前の自分ができる確かなタスクを完遂することに注力しています。
わたしも信じています。
原発の非効率
原発はいずれ日本からなくなるでしょう。
政治と経済の両面から、原発は日本には不要でしょう。
政治の意義はいろいろありますが、共通の政治意義を考えれば、「統治領域の人口の保全」こそが最重要課題でしょう。
人口の低下を招く政治は、存在価値がありません。これは近代政治であろうが、昔であろうが変わらないテーマです。
また経済面からも、今回の福島原発の被害額は、機会損失を含め、ゆうに10兆円を超えるでしょう。
今回の関東における電気量の1/3が原子力発電だったとしても、はたして最低でも10兆円を超えると言われる価値(損害)と釣り合うのでしょうか。
追記(4/1)
バンクオブアメリカ・メリルリンチの現時点での試算であり、最低でも原発の被害は10兆円とのこと。
3/29時点の予想で、プルトニウム拡散などは条件に入っていないと思われます。
間接的な被害(長期にわたる放射能の対応、農業、漁業、牧畜業はもとより、日本の輸出業全般への影響)を踏まえたら、その何倍にもなることが予想されます。
3/20の世界銀行の発表では東日本団震災の被害額が19兆円とのこと。
震災全体の被害の半分が、原発事故単体の被害額に等しくなります。
東証1部の時価総額は3月10日に321兆円だったものが、3月31日に298兆と22兆近く目減りしました。
東電の時価総額も2兆円近く目減りしたそうです。現時点の東電の時価総額は7400億円程度。
現時点で震災全体で22兆円近い経済へのダメージがあります。このうち原発事故の影響は、大きな割合を占めているはずです。
参考「東京電力の行方を見守りつつ、2つの真空を狙う相場=犬丸正寛の相場展望」
(追記終わり)
まずは地方から原発を放棄する
静岡県浜岡原発
まずは癒着が比較的浅い地方から始めるのが手だと思います。
地震が最も予想されている静岡の浜岡原発は廃炉するように、住民投票をするのはどうでしょうか。
先に述べたようにマクロ経済から考えても、原子力発電は、コストから鑑み非効率的です。
静岡は、今がチャンスだと思います。
マクロ経済を知り尽くしている川勝知事がいるタイミングこそ、判断するときだと思います。
経済の価値の再分配が、近代政治のテーマということは、川勝知事は分かっているはずです。
原子力発電所の事故リスクを、福島の事故以後、同様に負うことは考えられません。
大事なのは付け焼刃的に12メートルの防波壁を作ることではなく、原子力発電所の県内設置を廃止することです。
(岩手県大船渡市は今回の震災で、津波23メートルらしいですよ。川勝知事、中電さん、10メートル以上届いていませんよ。3年から5年かけて作るらしいですが、関東の住民、いや国民全体にとって、ジョークですまないです。思考停止に陥らせる電力会社の常套手段に思われます。本質は、高さの問題ではないけど、防波壁が今回の津波に届いてさえないので、なかなか次の議論にいけません。問題全体を俯瞰できていないために、努力の方向が完全に間違っています。こんなの繰り返してたら、「安全安全詐欺」ってみんなに言われてもしょうがないです。)
方法はいろいろあると思いますが、シンプルな住民投票で構いません。
空港にお土産屋を誘致することももちろん大事ですが、静岡県民には、問題の重要度を見誤らないでいただきたいです。
放射能を、未来の子供たちへのお土産にしてはいけません。
渦中の静岡で、原子力発電の廃止の声があがれば、国全体の施策にも影響すると思います。
原子力発電の放棄
国は国民投票を方法として安易に採択できないのと、官僚構造的に保安院と電力会社という自己矛盾を抱えているので、閣議や事業仕分けで廃止となろうが、決して原子力発電を国は放棄しません。
そもそも保安院の親である経済産業省は、安全を管理することを目的とした役所ではありません。
保安院、電力会社、関係法人、議員、企業、地方という一部の既得権益層は、国民の支出10兆円超えに値するか、疑問を持たなくてはいけません。
電力会社は、原発付近の地元民を職員(人質?)として、多く雇っていることも、課題解決のハードルの一つになるでしょう。
しかし、もう一度言いますが、原子力発電は賛成、反対の次元ではありません。
原子力発電は日本国民が放棄すべき事項です。どのような手続きで放棄するかです。
地震のリスクが想定できず、そのリスクによって制御できなくなる原子力の連動リスクを抱えることは、被害範囲、費用等の損切りができないという時点で、放棄すべき最優先課題です。リスクコントロール(ガバナンス)の鉄則です。
リスクコントロールを踏まえた場合、政治、経済、どの面からも保有しておく合理的理由が見当たりません。
放棄した場合、「原発と火力、風力などのベストミックスが生活を豊かにします」と謳い上げたどこぞの社是と広告代が無駄になるぐらいです。
一市民の見解としては、ぜんぜんベストなミックスでなく、プルサーマルも含めて、デッドミックスという認識です。
デッドミックスはみんなでやめるのはどうしょう。生活が今より怖くなくなります。生活環境の安心が増えます。
そんな当たり前の環境を子孫に残しませんか?
既に福島原発の放射能は世界中にばらまかれ、世界中の人々やその子孫にまで迷惑をかけはじめているんですから。
一企業、一省庁の権益など吹っ飛ぶ問題の大きさです。
既にデンマークなどは国をあげて、1985年に原子力発電を永久放棄しています。
またスウェーデン、イタリア、ベルギー、ドイツでは原子力撤退が政策化されています。
原子力発電を放棄して具体的に誰が損するのでしょうか?得する人(子孫含む)より規模は大きいものでしょうか?(そんなわきゃない)
代替手段の問題
代替手段がいるとか声があがりそうですが、代替手段を決めるより前に、原子力発電はリスクから廃止すべき事項です。リスク制御ができない政府や企業が運営するのであれば、猶予はありません。
(数時間後には地震が来るかも知れません。誰もリスクを予知できません)
多少電力量をカットしても、電気代の調整などにより経済は自ら回る方向を見つけられます。既存のエネルギーで半分以上まかなっています。
火力発電が必要であれば、「東日本大震災に係る特別措置」を京都議定書に附則として追記すればいい話です。
二酸化炭素排出量の例外を認めてもらえばいい話です。
震災を踏まえ原子力発電を廃止し、環境改善の道筋を示せば、反対する国は皆無でしょう。(日本の震災、原発事故からの復興を表立って反対する国がないからです。通常は利益が相反する隣国からも義援金届いてますし)
電力を多く使う、施設や工場が工夫すればいい話です。一番簡単なのは法定労働時間をエネルギーが見つかるまで8時間から6時間に変更するか、電気を多く使う工場等には税をかける等が効果があるでしょう。(サマータイム制よりも)
原子力発電の放棄
憲法改正や法令制定にちなんで、書くならこんなかんじでしょうか。憲法第9条あたりを参酌して作成しました。
(以下、著作権は放棄していますので配布、加工等ご自由に。話のたたき台に使ってください。)
1 日本国民は、われらとわれらの子孫のために安全と信頼を基調とする環境を誠実に希求し、原子核反応の利用は、エネルギーを生成する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、原子核反応の利用によりエネルギーを生成するものは、これを保持しない。
検討事項:
(1)「信頼」のかわりに、「安心」のほうがなじむかな。
(2)地球規模の環境を想定したほうが時代に合うかな。
(3)「エネルギーを生成するもの」は「発電所」ってずばり書いたほうがいいのかな。